ラベンダーが突然枯れてきたけど、なぜ?
枯れた株を復活させるにはどうすればいいの?
この記事では、そんな疑問を解決します。
ずばり、ラベンダーの「枯れた」には、2つのパターンがあります。
- 木質化によって枯れた(自然の老化)
- 環境が適していないため枯れた
(木質化とは、枝が木のような状態になることを言います。)
言い換えれば
- 木が老化しているから元気がないのか
- 老化の兆候がないのに枯れてきているのか
というわけです。
それぞれの枯れ方によって対処法が異なるため、あなたの株がどちらのパターンで枯れたのかを診断して、最善の方法でメンテナンスをすることが大切です。
この記事では、ラベンダーが枯れてきたときの2つ原因と最善の対処法を分かりやすく解説していきます。
ラベンダーが「枯れた!?」原因は2つ
- 木質化によって枯れた(自然の老化)
- 栽培環境の問題で枯れた
①木質化で枯れた場合の対処法は
- 剪定(切り戻し)
- 挿し木
②栽培環境の問題で枯れた場合の対処法は
- 土壌改良&水やり方法の改善
- 夏場の高温対策
- 施肥(肥料やり)
- 挿し木
- 植物の栽培を仕事として経験している夫婦が解説
- 100種類以上のハーブの栽培を経験
- ガーデニング歴は夫婦ともに20年以上
仕事と趣味の両面から多くのハーブを栽培している経験を活かして、分かりやすく解説していきます。
ラベンダーが枯れる原因と対処法について
まず、ラベンダーが枯れる原因について整理しておきましょう。
ラベンダーが「枯れる」とは、以下の2つの現象を指します
- 木質化によって「枯れる」
- 栽培環境が適していないため「枯れる」
それぞれ広い意味で「枯れた」と言われていますが、事情が全く異なります
あなたの株がどちらのタイプに当てはまるのか、確認していきましょう。
原因① 木質化によって枯れる
はじめに、木質化によってラベンダーが枯れる場合について解説します。
ラベンダーは樹木(低木)に分類されるハーブです。
ラベンダーは幼い頃、全ての枝が緑色です。
「枝」と言っても、通常の草花のように柔らかい茎が伸びているため、
まさか、ラベンダーが低木に分類されるなんて、想像できないと思います。
しかし、ラベンダーは育ててから年数が経過すると、樹木のように木の肌が「木質化」してきます。
上の写真は古いラベンダーの株です。
ラベンダーは徐々に「株元は樹木のようで、枝先だけ緑の状態」になっていきます
あなたが育てているラベンダーの木の肌が木質化している場合は、老化によって「枯れている」可能性が高いと考えられます
木質化が原因の場合、ラベンダーの株に問題があるわけではないため、ひとまずご安心ください。
健全な成長を続けた結果、古い枝が木質化してきた!というわけです
この場合、木質化の進行具合によって以下の2つが対処法となります。
- 木質化初期⇒剪定(切り戻し)
- 木質化後期⇒挿し木
具体的な作業の方法は後ほど解説します。
原因② 栽培環境が合っていないため枯れる
次に、栽培環境が合っていないためラベンダーの株が枯れる場合について解説します。
このケースの場合、原因①のように木質化していないのに株が枯れてくるのが特徴です。
木質化していない状態で株が枯れている場合は、ずばり、栽培環境が合っていないと考えられます。
これは老化による木質化とは違い、株が弱り始めている兆候です!
あなたが育てているラベンダーの枝が緑色だったにも関わらず枯れてきた場合は、株が衰弱しているため、すぐに対処する必要があります
では、何が原因でラベンダーは枯れてきているのでしょうか?
主に考えられる原因は以下の通りです。
- 土壌が合っていない
- 水を与えすぎている
- 高温になり過ぎている
- 肥料が不足している
ラベンダーは高温・多湿に弱い植物です。
まだ枝が緑色で株が幼いうちは、特にその傾向が強く、「土選び」や「水やり」はとても重要です。
また、昨今の夏場の「高温」は根を痛め、新芽を傷つける原因になり得ます。
さらに、新たな枝を吹かせるためには「肥料」が不可欠です。
肥料成分が不足していると株が弱っていき、最終的には枯れてしまう場合もあります。
つまり、対処法としては…
- 水はけの良い土に植え替える
- (土壌改良後に)水やりの方法を改善する
- 夏場の高温対策を行う
- 肥料を与える
以上の4点を試して、改善が見られなければ「挿し木」で新たな株を作り、現在の株と交換することを検討しましょう。
具体的な作業方法は後ほど解説します。
対処① ラベンダーが木質化で枯れてきたときの対処法
ここまでの情報を整理すると
ラベンダーが枯れる要因は大きく2パターンに分けられることを解説しました。
- 木質化によって枯れた(自然の老化)
- 環境が適していないため枯れた
ここからは、それぞれの枯れ方に対する対処法を解説していきます
まずは、①ラベンダーの木質化が原因で枯れる場合の対処法をご紹介します。
ラベンダーの木質化の対処法は、「緩和する(遅らせる)方法」と「リセットする方法」の2種類があります
それぞれの方法は園芸のテクニックで
- 剪定(切り戻し)
- 挿し木
と呼ばれており、木質化の進行度によって使い分けをします。
- 木質化初期⇒剪定(切り戻し)
- 木質化後期⇒挿し木
それぞれの作業の方法を解説します。
対処①−1 木質化初期=剪定(切り戻し)でラベンダーの木質化を緩和
木質化初期の枝に対しては「剪定(切り戻し)」というテクニックを使って、枝の長さを短くして木質化した枝を若返らせてあげましょう。
イメージはこんな感じです。
何もせずに栽培していくと、株の下の方から徐々に木質化が進んでいきます。
この株を剪定(切り戻し)していきます。
このように枝の位置を低くまで切り下げます。
古い株ほど枯死した枝が多いはずなので、たくさん切り下げたいと思う方も多いはず。
ですが…
ハサミを入れることができる位置は、下から葉が吹いているところまで!
それ以上切り下げると、新しい葉が吹かなくなる可能性があります
しばらく栽培していくと…
このように新しい枝が吹いてくるため、株を下の方から若返らせることが可能です。
切り戻しの適期は、気温が涼しく新しい芽が吹きやすい春と秋です。
切り戻しを行う場合の注意点
切り戻しは老化した枝を切り落とす作業です。
当然ながら、ラベンダーの株に傷口をつくることになるため、病気発生のリスクの伴う作業です。
特に、切り戻しを行うラベンダーは老化が進み、勢いがなく弱っているケースも少なくありません。
切り戻しを行う際は以下の2点に注意すると、作業後に病気で枯死するリスクを抑えることができます
- 切れ味の良いハサミを使う
- 作業後に消毒を行う
1つ目のポイントは、切り戻しをする際に切り口をきれいにカットすることです。
切れ味の悪いハサミを使って枝を切ったり、小さなハサミで太い枝を切ったりすると、
なかなか枝が切れず「枝を押しつぶした」ような切り口になってしまったことはありませんか?
傷口が大きくなると、病気発生のリスクも高まってしまうため、
切れ味の良い剪定鋏でサッと切るのがおすすめです。
岡恒の剪定鋏は、切れ味も良く扱いやすいハサミでおすすめです。
剪定鋏を使ったことがない方は、その使い心地に驚くと思います。
私も仕事、プライベートともに愛用しています。
ガーデニングをされる方は是非一度使ってみてください。
2つ目のポイントは切り戻しの作業後に切り口を消毒することです。
作業後の切り口は無防備の状態です。
切り戻したラベンダーの切り口から病原菌が侵入し、枯死してしまうことは珍しいことではありません。
そこで、切り戻しをした後は殺菌剤をスプレーしておくことをおすすめします。
ここでは、
- 殺菌成分により鋭く高い効果が期待できるタイプ
- 100%食品由来のマイルドなタイプ
の2種類の殺菌剤をご紹介します。
まずは、あらゆる病虫害に高い効果が期待できるベニカXネクストスプレーをご紹介します。
ベニカXネクストスプレーは5種の殺虫・殺菌成分が配合されており、
ガーデニングで育てる多くの植物に使用できる万能的な薬剤です。
ラベンダーに発生するダニやうどんこ病にも効果的です。
ラベンダーに発生する病虫害についてはこちらの記事をご覧ください。
次に、お酢の成分から生まれたピュアベニカをご紹介します。
お酢の成分から出来ているため、
オーガニック栽培にチャレンジされている方や、キッチンハーブを栽培する方でも
安心して使用できる薬剤です。
- 切れ味の良いハサミで切り戻し
- 切り口に殺菌剤をスプレー
これで切り戻しはバッチリです。
対処①−2 木質化後期=挿し木でラベンダーの木質化をリセット
上でご紹介した切り戻しをしても、徐々に老化(木質化)は進んでいきます。
木質化が再び進行すれば、枝から新芽や葉が出なくなり、結局株は枯れたような状態に戻ります。
木質化が進み過ぎると切り戻しでは対処できません
木質化の後期は挿し木をして新たな若い株を作り、古い株と新しい株を交換するタイミングです
挿し木の方法を確認していきましょう
挿し穂の調整
挿し木に使う「挿し穂」作りましょう。
先端の緑の枝から5~10cmくらいの場所で枝をカットします
土に挿す部分の葉を取り除き、切り口を斜めにカットします
これで挿し穂は完成です。
挿し木に使う用土
挿し木に使う用土は赤玉土やバーミキュライト、ひゅうが土など、肥料成分が入っていない無機質な土がおすすめです。
市販の園芸用土などは肥料成分が入っていることが多く、腐敗の原因になるため、使わないようにしましょう。
あとは、調整した挿し穂を用土に挿していきましょう。
木質化の対処法をさらに詳しく知りたい方は
ラベンダーの木質化の対処法を1記事にまとめています
自分の株が木質化で枯れてきたと思った方はこちらの記事がおすすめです
対処② 栽培環境が合っていないため枯れる場合の対処法
次に、栽培環境が合わずラベンダーの株が枯れる場合の対処法をご紹介します。
ラベンダーが枯れたときの対処法は大きく分けて2つあります。
- 現在の株のメンテナンスを行う
- 挿し木をして、新たな株と入れ替える
まずは、①育てているラベンダーの株をメンテナンスしていきましょう。
「土壌改良」と「高温対策」、「施肥(肥料を与える)」を実践しましょう。
次に②「挿し木」をして新しい世代の株を作っていきます。
いずれの作業も結果が出るまでに時間がかかります
①と②の作業は並行して作業することをおすすめします
それぞれの対処法について解説していきます。
対処②−1 ラベンダーの土壌改良
ラベンダーは過湿に弱いハーブです。
まずは水はけの良い土に入れ替えて、復活を試みましょう。
鉢植えの場合は、市販の「ハーブの土」または自分で配合した「水はけの良い土」を使います。
市販の土を購入する場合、おすすめは「ハーブの土」です。
プロトリーフの「ハーブの土」は、配合している土の品質が良く、とても水はけの良い土でラベンダーの栽培にもおすすめです。
自分で土を配合する場合は以下の3種類の土を用意して、混ぜ合わせます。
赤玉土:腐葉土:軽石=6:3:1
の割合で配合すると、とても水はけの良い土を作ることができます。
ちなみに、軽石とは「ひゅうが土」「パーライト」「ゼオライト」などが当てはまります。
土の配合は、初心者の方でも簡単にできます!
園芸の世界ではプロも使う良い土が出来ますので、この機会に実践してみてください。
地植えの場合は、水はけを改善するために、株の周辺の土に軽石を混ぜ込みます。
水はけの良い土に植えれば、水をやり過ぎてもサッと鉢底から水が抜けます
無理に水やりを控えるのではなく、水はけの良い土を使ってまんべんなく水をあげましょう
高温対策を行う
一般的に、ラベンダーの栽培に適した環境は
「日当たりが良く、水はけの良い環境」
と言われています。
この説明に間違いはありません。
ですが、これは春や秋などのマイルドな条件下での話です
そもそも、ラベンダーはヨーロッパ圏のハーブです。
現地の環境は日本のような梅雨がなく、夏は高温多湿になりません
つまり、現地には存在しない「梅雨」や「夏の高温」はラベンダーにとってイレギュラーな環境と言えるわけです。
おそらく、皆さんが育てているラベンダーが枯れる原因の半数以上は夏場の高温・多湿が引き金になっていると考えられます。
この時期をいかに乗り越えるかが、ラベンダー栽培の最大のポイントになります。
鉢栽培の場合
ラベンダーを鉢で管理している方は、梅雨頃から「雨の当たらない涼しい場所」に移動させることをおすすめします。
先ほどもご説明した通り、ラベンダーは高温・多湿が苦手です。
日本の梅雨は雨量が多いため、過湿状態になりがちです
また、雨上がりは気温が上がるため、地上部は蒸れやすく、鉢の中の水も湯のように温まり根腐れを起こしやすい環境となります。
そこで、おすすめなのが、
梅雨から夏にかけては一切雨に当てず、自分で水やりをする栽培方法です
軒下などの雨に当たらない場所に移動してみましょう
前項の水はけの良い土を使って、鉢の中が乾いたらしっかりと水を与えましょう。
これで、過湿による株の傷みや根腐れのリスクを負わずに安全にラベンダーを夏越しさせることができます。
光条件については、明るい環境を好む傾向があるものの、日差しが強すぎて気温が高くなる場所は逆効果となります。
夏場は光よりも「気温」を意識して、なるべく涼しい環境で栽培することでラベンダーが枯れるリスクを下げることができます。
地植えの場合
地植えでラベンダーを栽培している場合は、当然ですが、鉢植えのように株を移動することができません。
ラベンダーのことを優先するならば、出来るだけ「雨に当たらず、涼しい場所」を選んで植え付けることが最重要です。
例えば、大きな木の下などがおすすめです。
または、
- ビニールの雨除けを張る
- 日除けの寒冷紗を張る
この2点を実行すればラベンダーが枯れるリスクを大きく下げることが可能です。
しかしながら、
手間がかかるし、景観が損なわれるという大きな問題が発生します。
私も仕事でラベンダーを地植えすることがよくありますが、
私は地植えのラベンダーには寿命があると考え付き合っています。
寒冷地や高冷地などの冷涼な気候を除き、露地で(雨に当てて)地植えのラベンダーを育てると、
ラベンダーの株は2〜3年で衰弱することが大半です。
ですので、私が仕事でラベンダーを地植えする場合は、
2〜3年の栽培期間のうちに挿し木によるバックアップ苗を作り、新しい株との入れ替えを行う方法で対処しています。
- 植え付け場所を厳選する
- バックアップ苗を準備しておく
この2つの方法でラベンダーが枯れるリスクに備えましょう。
対処②−2 ラベンダーの施肥
ラベンダーが新しい枝や葉を出すためには、エネルギーが必要です。
植え付けてから全く肥料をあげない状態が続くと、だんだんと株が弱っていき、最終的には新しい葉を出すことができなくなってしまいます
特に、根を外に広げることができない鉢植えは肥料が不足しがちです。
しばらく肥料を与えていない場合は、必ず肥料をあげましょう。
ゆっくりと長く効果が持続する緩効性肥料を使えば、手軽に肥料を与えることができるので初心者の方にもおすすめです
また、油かすなどの有機質肥料を使えば、土壌に有益な微生物が住むようになり、土壌改良の効果も期待できます。
長く栽培を続けていく植物には、化成肥料と有機質肥料を上手に使い分けていきましょう。
▼肥料の種類や効果についてよく分からない!という方はこちらの記事をご覧ください
対処②-3 ラベンダーの挿し木
メンテナンス①②では、枯れてきたラベンダーの株のメンテナンス方法を解説しました。
これと並行でメンテナンス③として、ラベンダーが完全に枯れてしまうことに備え、挿し木で新たな株を増やしておくことをおすすめします。
挿し木の手順については、「木質化が原因で枯れる」のときに解説した挿し木の方法と同様です
株がダメージを受けていて、挿し穂が取れない場合は、無理に挿し木を行わずにメンテナンス①②に注力しましょう
現在育てているラベンダーが完全に枯れてしまったら、挿し木によって準備しておいた株と入れ替えを行います。
鉢植えの場合は、挿し木で準備しておいた株をお好みの鉢にサイズアップしましょう
植え付けには水はけの良い土を使いましょう
地植えの場合は、入れ替えのタイミングでラベンダー周辺の土を多めに取り除き、新たな土を入れて土壌改良をしてから植え付けましょう。
たい肥や油かすなどの有機質肥料を入れると、さらに土壌改良の効果が高まります。
まとめ
いかがでしたか?
本日はラベンダーが枯れてきた場合の原因と対処法を解説しました。
ラベンダーが「枯れた!?」原因は2つ
- 木質化によって枯れた(自然の老化)
- 栽培環境の問題で枯れた
①木質化で枯れた場合の対処法は
- 剪定(切り戻し)
- 挿し木
②栽培環境の問題で枯れた場合の対処法は
- 土壌改良&水やり方法の改善
- 施肥(肥料やり)
- 挿し木
あなたの育てているラベンダーが枯れてきた場合、まず
- 木質化によるものなのか
- 環境によるものなのか
判別をして、ベストな対策をとりましょう。
復活の兆候がみられない場合は、挿し木によって増やした新たな株と入れ替えを行います
①②どちらのパターンも最終手段は「挿し木」による株の交換です。
「枯れてきたかも?」という兆候がみられたら、メンテナンスと同時進行で挿し木に取り掛かるのも有効な手段です
この記事がラベンダー復活の参考になれば幸いです。
元気なラベンダーを育ててハーブのある生活を楽しみましょう!
▼ラベンダーはいくつもの種類があります
その中でもフレンチラベンダーは特に育てやすく、きれいな花を咲かせるラベンダーです
お庭にフレンチラベンダーをお迎えしてみませんか?
それでは、また次のお部屋でお会いしましょう。