ガーデニング初心者さんへ

【ルートンとは?】挿し木での使い方と効果について解説

  • 挿し木でルートンを使ってみたいけど、どうやって使うの?
  • ルートンってホントに効くの?効果について知りたい

そんな疑問にお答えする記事です。

私は仕事の関係上、これまで数百万本の挿し木を扱ってきた経験があります。

挿し木の発根率をアップさせる方法はいくつもあります。

今回は挿し木の成功率をアップさせる手段の一つである「発根促進剤」の中でも特に扱いやすい「ルートン」の使い方や効果について解説していきます。

本日の要点
  • 【概要】ルートンは合成の「植物ホルモン」⇒発根率アップが期待できる
  • 【使い方】一般的に挿し木の切り口に塗布する
  • 【効果】多くの場合、発根率・発根量が上がる
  • 【注意】過度な期待は禁物⇒他の発根率アップの条件と組み合わせる

記事の信頼性(筆者について)
  • 植物の栽培を仕事として経験している夫婦が解説
  • 仕事では年間に百万本以上の挿し木を扱っていた
  • ガーデニング歴は夫婦ともに20年以上

仕事趣味の両面から植物を触っている経験を活かして植物の正しい知識を発信します。

「ルートン」とは?

そもそもルートンってなに?という方も多いのではないかと思います。

ルートンは「植物成長調整剤(略して植調剤)」と呼ばれる農薬の一種です。

植物の中には、「植物ホルモン」と呼ばれる物質が何種類も入っています。

植物ホルモンの中でも「オーキシン」と呼ばれるホルモンが植物の発根を促進させる役割を担っています。

ルートンは、オーキシンと同じ効果を持つ「合成オーキシン」という位置づけの農薬です。

植物にルートンを与えることで、発根をはじめとする植物の生長を促進させる効果が期待できるというわけです。

農業の世界では様々な植調剤を使って花や野菜、果樹などを作っています。

家庭菜園でおなじみの、トマトの実つきを良くする(落果防止)「トマトトーン」も合成オーキシンの植調剤の一種です

ルートンの成分名

「ルートン」は商品名で、正式な成分名は「1-ナフチルアセトアミド」という物質です。

植物の持つオーキシンとほぼ同じ働きをすることが知られています。

ルートンの形状

ルートン白い粉状の薬剤です。

一般的に粉を直接、またはペースト状にして挿し木の切り口につけて使います。

ルートンは2社が販売 成分は同じ

ルートンは「住友化学園芸」と「石原バイオサイエンス」の2社から販売されています。

容器は違うものの、製造元はいずれも「石原産業」です。

どちらも成分名は「1-ナフチルアセトアミド」、成分の濃度は「0.4%」となっており、中身は全く同じものです

ルートンの価格、入手場所

価格は200~500円前後と量の割に安価です。

ホームセンター、園芸店、オンラインショップなどで購入可能です。

ルートンの使い方

ルートンは主に2つの使い方があります。

  1. 挿し木の切り口に粉末をまぶす
  2. 水を入れ、ペースト状に練ったものを塗布する

それぞれ解説します。

使い方①粉末をまぶす

ルートンの粉末を、挿し木の切り口につける使い方です。

挿し木でルートンを使う場合は9割方この使い方で問題ありません。

説明書には

「挿木(挿苗)の基部を3cmぐらい水にひたしその部分にうすい層になって付着する程度に粉のまままぶす」

と書いてあります。

十分に長い挿し穂を確保できればこれで問題ありません。

ハーブや草花を挿し木する場合、挿し穂の長さはせいぜい5~10cm程度です

この場合は、基部から3cmではなく切り口付近にまぶすだけでも十分です

また、つけすぎには注意するように書かれていますが、具体的な量や濃度については記載がありません

実際のところ、粉末のつけすぎで発根率が低下したと感じたことはありませんが、節度ある量を使うようにしましょう。

注意点として、粉末は別の皿や容器に移して使いましょう。

直接容器にぬれた挿し穂を入れてしまうと粉末が固まってしまい、次回以降に使用できなくなってしまいます。

使い方②ペースト状にして塗布する

これは一部の樹木類などで行われる方法です。

多くの方は①粉末での使用をおすすめします。

説明書には

「本剤を適当量の水でペースト状にねってから挿木の切り口にぬりつける。日陰干で乾燥してから挿す

と書かれています。

先ほどの粉末と違うところは、ペーストを乾燥させてから挿すというところです。

ある程度乾燥に強い樹木や、切り口を乾燥させる必要がある植物の挿し木に向いている方法です。

この方法で草花などの挿し木をしてしまうと、乾燥させている間に植物体がしおれてしまいますので、①の方法で挿し木しましょう

ルートンの効果について

「実際のところ、ルートンってどのくらい効果があるの?

と気になっている方も多いと思います。

結論を先に申し上げれば、

劇的ではないが、発根率は上がる

という具合です。

「ルートンを使えばこんなに発根します!」

と書かれている記事も見かけますが、実際にはルートン単体でそこまでの効果を期待するのは難しいかなと感じます。

こちらの表をご覧ください。

これは、ある植物の挿し木のデータです。

知人の協力を得て個人的に大規模な挿し木をする機会があり、様々な条件で挿し木をしたデータの一部を抜粋したものです。

表では同じ植物の異なる4品種をそれぞれ1000本ずつルートンありorなしの条件で挿し木をして、発根率発根までにかかった日数をまとめています。

ルートンによって発根率がわずかに上がる傾向がみられた

また、発根するまでの期間が若干短くなる傾向がみられた

この試験では根の量を計測していませんが、根の量も若干増える傾向があります。

これまで、かなりの植物でルートンを使用してきましたが、どの植物でも概ね今回お示ししたデータのような結果になるかと思います。

ただ、ルートンを使ったからと言って、毎回同じ結果になるわけではありません。

  • 挿し木をする時期挿し穂のコンディションによって、結果が変わることがある
  • 発根率変わらないor下がることもある

この点はご注意ください。

ルートンの効果を過信しない

挿し木の発根率がアップする方法はルートンだけではありません。

  • 元気な植物から採った挿し穂を使う
  • 挿し木後は湿度を高めに保つ
  • 適切な用土を使う

などなど、挿し木に適切な環境をトータルで整えてあげることが大切です。

ルートンは発根率アップの手段の一つであることを忘れずに。

まとめ

いかがでしたか?

本日はルートンの使い方と効果について解説しました。

本日のおさらい
  • 【概要】ルートンは合成された「植物ホルモン」
    • ⇒発根率アップが期待できる
  • 【使い方】一般的に挿し木の切り口に塗布する
  • 【効果】多くの場合、発根率・発根量が上がる
  • 【注意】過度な期待は禁物
    • ⇒ルートンだけでなく、トータルで挿し木の環境を整える

ルートンは挿し木を行う際に使用するメリットが多く、逆にこれといったデメリットはありません

価格も安く、簡単に入手できるため、挿し木をする方はぜひ常備しておくと良いと思います。

ルートンで挿し木をするときは、その他の挿し木の環境も整えてあげましょう。

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それでは、また次のお部屋でお会いしましょう。