- 多年草や宿根草ってよく聞くけど、違いが分からない
- そもそも多年草ってなに?
そんな方に向けた記事です。
それぞれの植物は一生の過ごし方が決められています。
これを植物の世界でライフサイクルと呼んでいます。
- 一年で一生を終える「一年草」
- 開花までに二年以上かかる「二年草」
▼上の2タイプについてはこちらの記事で詳しく解説しています
今回の記事では、ガーデニングの世界でよく耳にする「多年草」について解説いたします。
一年草・二年草の記事と合わせて読むことで、植物の一通りのライフサイクルが理解できる仕組みです。
- 植物の栽培を仕事として経験している夫婦が解説
- 様々な種類の植物の栽培を経験
- ガーデニング歴は夫婦ともに20年以上
仕事と趣味の両面から植物を触っている経験を活かして分かりやすく解説します。
ライフサイクルが頭に入っていると、初めて出会う植物でも生活のスタイルやお手入れの方法が何となくイメージできるようになります。
植物の世界をより楽しむために、最後までご覧いただけると嬉しいです。
- 多年草は「多年生植物」の一種
- 「多年生植物」の中に含まれるのは
- 多年草(多年生の草本)
- 樹木類(多年生の木本)
- 「多年草」の中に含まれるのは
- 常緑性多年草
- 落葉性多年草
- 宿根草
- 球根植物
さぁ、ややこしくなってきました。
大丈夫、一緒に見ていきましょう!
多年草とは「多年生植物」の草本タイプ
本日お話しすることを1枚の図にしてみましたので、ご覧ください。
ご覧いただくと、「多年生植物」が一番大きなカテゴリーとなります。
多年生植物とは、開花しても枯死せず、複数年にわたって生存する植物のことです。
これを草タイプと樹木タイプに分けたときの、草タイプの方が「多年草」です
つまり、左側の4タイプの植物が「多年生草本(多年草)」と呼ばれています。
ちなみに、バラやクレマチス、ラベンダーなどは枝が木質化するため、学術的には「低木」という扱いにされることが多いです。
多年草と宿根草の違いは?
答えは上の図の通り、「宿根草は多年草の一種」ということになります。
多年草は4つのタイプに分けられます。
- 常緑性多年草
- 落葉性多年草
- 宿根草
- 球根植物
つまり、宿根草は多年草の4タイプのうちの1つというわけです
それぞれのタイプを簡単に解説していきます。
常緑性多年草
多年草のうち、年間を通して常にグリーンの状態をキープしている植物を「常緑性多年草」といいます。
例えば、クリスマスローズ、ヒューケラ、ジャノヒゲなどがこのタイプに分類されます
耐寒性が強く、冬場でもガーデンの緑を維持してくれるため、使い勝手の良い植物です。
落葉性多年草
多年草のうち、夏や冬に葉が落ちて株が更新される多年草を「落葉性多年草」といいます。
常に地上部が残っている「常緑性多年草」に対して、落葉することで葉の展開がリセットされるのが特徴です
リセットされたあとはすぐに次の葉が出てきます
ガーデニングの世界ではキク科の植物やギボウシなどがこのタイプに該当します
キク科の植物は、冬に今年の葉がバッサリと落ちた直後に、地際にピターっと張り付いたような葉がびっしり出てきて冬を越します。
この状態を「ロゼット」と呼んでいます
春になると「ロゼット」が解除されて、再び上に生長していきます。
宿根草
落葉する多年草のうち、夏や冬などの苦手な時期に地上部が全て枯れてなくなり、良い時期になるまで根や芽が地面の下でお休みする植物が「宿根草」です。
葉が落葉してリセットした直後に次の葉が展開する「落葉性多年草」に対して、
苦手な時期は完全に休業してしまうのが「宿根草」になります。
シャクヤクやエキナセアなどがこのタイプに該当します
園芸の世界では、本日ご紹介している「4タイプの多年草」のことを全てまとめて「宿根草」と呼ぶことがあります
多年草の植物を4タイプまとめて「宿根草」と呼ぶ場合(広義の宿根草)と
本日ご説明した「苦手な時期をまるごとお休みする多年草」だけを「宿根草」と呼ぶ場合(狭義の宿根草)があるということです。
「多年草と宿根草の違いは?」への回答は
「同じものとして扱う」場合と「正確に使い分ける」場合があるというわけです。
球根植物
宿根草と同じく、苦手な時期に地上部を全て枯らしてお休みする植物のうち、「地下の貯蔵器官」を肥大させるタイプの植物を「球根植物」といいます。
「地下の貯蔵器官」というのは、根・茎・葉いずれの場合もあり、植物によって異なります
「球根」というのは総称で、本当はどの器官が肥大したかによって呼び方が変わります
「へー」くらいに思っておいていただければ大丈夫です。
- 葉を肥大させる植物【鱗茎(りんけい)】
- チューリップ、スイセン、ユリ、ヒアシンス、タマネギなど
- 茎を肥大させる植物【球茎(きゅうけい)、塊茎(かいけい)、根茎(こんけい)】
- グラジオラス、シクラメン、サンダーソニア、スズラン、カンナ、ジャガイモなど
- 根を肥大させる植物【塊根(かいこん)】
- ダリア、ラナンキュラス、サツマイモなど
こんな感じで、植物によって肥大している部分が違います。
正確な呼び名が使われることはほとんどないので、ご参考までに。
まとめ
いかがでしたか?
本日は「多年草とは?」「多年草と宿根草の違い」についてちょっと詳しく解説しました。
- 多年草は「多年生植物」の一種
- 「多年生植物」の中に含まれるのは
- 多年草(多年生の草本)
- 樹木類(多年生の木本)
- 「多年草」の中に含まれるのは
- 常緑性多年草
- 落葉性多年草
- 宿根草
- 球根植物
多年草と宿根草の違いはご理解いただけましたか?
ちょっとした知識も積み上げていくことで「塵も積もれば山となる」
少しずつ詳しくなっていくと、植物を見る世界も変わってきます!
本日の内容が少しでも皆さんの記憶に残っていただければ嬉しいです。
▼この記事の他にもガーデニングに役立つ様々な知識を記事にしています
ご興味のある方は、「ガーデニングの教科書」の記事たちをチェックしてみてください!
それでは、また次のお部屋でお会いしましょう。