そんなお悩みにお答えする記事です。
植物を育てていると
- 一つの茎だけがヒョロヒョロと成長してしまい、株のボリュームが不足してしまったり
- この間までたくさん咲いていた花の勢いが止まってしまったり
そんな経験をしたことはありませんか?
これらの現象は「ピンチ」や「切り戻し」というテクニックを使うことで改善することができます。
本日はこの「ピンチ」「切り戻し」について解説いたします。
- 植物の栽培を仕事として経験している夫婦が解説
- 100種類以上のハーブの栽培を経験
- ガーデニング歴は夫婦ともに20年以上
「ピンチ」や「切り戻し」のテクニックをマスターすれば、植物を自由に仕立てたり、花を咲かせるタイミングをコントロールすることができるようになります。
ぜひ最後までお読みいただき、皆さんのガーデニングに活用いただけると嬉しいです。
- ピンチは生長中の茎や枝の先端をカットして脇芽の生長を促すテクニック
⇒芽の数が増えるため、ボリュームのある株に仕立てることができる
- 切り戻しは伸びすぎた茎や枝を低い位置までカットすることで、生育をリセットさせるテクニック
⇒植物の老化を防いだり、草丈をコントロールすることができる
順番に解説していきます。
ピンチとは?
「ピンチ」とは植物の生長している茎や枝の先端をカットすることで、脇芽の生長を促進させるテクニックのことです。
植物には「頂芽優勢」という機能が備わっており、その植物の頂点にあたる芽が優先的に伸びる仕組みになっています。
何もせずにいると、どんどん先端が伸びていき、イメージのような株に仕上がります。
このように育てていくと、ひょろっと背が高くて花数も少なく、ボリューム不足の株になってしまいます。
そんなときに「ピンチ」の出番です。
「ピンチ」を使って先端部を切除してみます。
こんなことして大丈夫なの?
と思うかもしれませんが、大丈夫です。
さて、この後植物はどのように生長していくのでしょうか?
お分かりいただけますでしょうか?
先端の芽がなくなることで、「頂芽優勢」が崩れ、脇芽とよばれる芽が横から出てきました。
芽数が増えたことで花数も増え、株にボリュームが出てきます。
ピンチとは、頂芽を切除することで脇芽を増やす効果があり、結果的に株にボリュームを出すテクニックとなります。
ピンチを何度か繰り返していくと、全くピンチをしていないものと比べてかなりボリュームのある株に仕立てることができます。
また、頂芽を切除すると、当然ながら頂芽に着く花はなくなってしまいます。
代わりに脇芽に花が着くのですが、頂芽に咲く花より若干遅れて咲く傾向があります。
つまり、この性質を利用すれば、意図的に花を咲かせるタイミングをずらすことができるのです。
例えば、「一方の茎は1回ピンチで花を咲かせ、もう一方の茎は2回ピンチした脇芽に花を咲かせる」
といったことも可能で、1株でより花が咲く期間を長くすることできるようになります。
切り戻しとは?
「切り戻し」とは、伸びすぎた茎や枝をカットし、より低い位置から再度新しい芽を吹かせるテクニックです。
原理はピンチと同じで、「頂芽優勢」を崩して脇芽を発達させる仕組みです。
「ピンチ」はこれから伸びる茎の数を増やすために行うテクニックに対して、
「切り戻し」は一度伸びた髪を切るイメージに近いかもしれません。
植物は先端の枝や茎をどんどん伸ばしていく習性があるため、手入れをしないと上へ上へ(あるいは横へ横へ)と生長していきます。
枝や茎を伸ばしすぎてしまうと、株疲れを起こしたり、予定していたスペースをオーバーして生長してしまいます。
そんなときは「切り戻し」をして、株をリセットしてあげましょう。
切り戻しをすることで新しい芽が株元から出てきて、植物は若い状態をキープすることができます。
実際に「ピンチ」や「切り戻し」の効果を見てみよう
ピンチや切り戻しの仕組みについてはご理解いただけたと思いますので、ここでは「ピンチ」や「切り戻し」をすることでどのような効果が得られるのかを見ていきましょう。
ピンチ
まずは「ピンチ」です。
発芽したばかりの状態からピンチを繰り返していくと
芽の数をどんどん増やすことができます。
初期の頃から繰り返しピンチをすると、株元から脇芽がたくさん出ています
上部でピンチをすると上の方から脇芽が出てくる草姿になります
また、ピンチには先が細長く鋭い園芸用のハサミを使うと、植物の切り口をきれいに切ることができます。
切れ味の悪いハサミを使うと切り口が汚くなり、病原菌が侵入するリスクが高まるため、必ず切れ味の良いハサミを使いましょう。
切り戻し
次に切り戻しです。
写真は我が家のブラックベリーの株です。
毎年旺盛に枝を伸ばしていくので、アーチなどに誘引すれば立派な株に仕立てることができますが、この場所ではスペースが足りません。
そのため、毎年切り戻しをして株の状態をリセットしています。
冬に古い枝を切り戻しましたが、春には切り戻した部分より少し低い位置から新しい芽が吹いてきています。
コンパクトに仕立てて、毎年しっかりと実も収穫できています。
切り戻しをしなければ、とてつもなく大きな株になる植物も、テクニックを使えば、このように生育をコントロールすることができます。
まとめ
いかがでしたか?
本日は「ピンチ」と「切り戻し」について解説しました。
- ピンチは生長中の茎や枝の先端をカットして脇芽の生長を促すテクニック
⇒芽の数が増えるため、ボリュームのある株に仕立てることができる
- 切り戻しは伸びすぎた茎や枝を低い位置までカットすることで、生育をリセットさせるテクニック
⇒植物の老化を防いだり、草丈をコントロールすることができる
これらのテクニックを使いこなすことで、思い通りの草姿を維持したり、花の鑑賞期間をコントロールすることができるようになります。
本日の記事が皆さんのガーデンをさらに美しい状態に維持するためのヒントになれば幸いです。
▼この記事の他にもガーデニングに役立つ様々な知識を記事にしています
ご興味のある方は、「ガーデニングの教科書」の記事たちをチェックしてみてください!
それでは、また次のお部屋でお会いしましょう。