- ラベンダーの枝が木質化(木の様になる)してきたけど、どうすればいいの?
- 若い枝を増やしたいけど、何か方法はある?
そんな疑問にお答えする記事です。
ラベンダーを長い期間栽培していると必ず頭を悩ませるのが「木質化」です。
みなさんが育てているラベンダーは、株の下の方が茶色く枯れてきて、枝の先端にだけ緑の葉が出ている状態ではありませんか?
詳しくは後述しますが、木質化はラベンダーの特性です。
栽培が長くなれば、緑の枝は必ず木質化していきます。
病気や生育不良ではなく、生理的な現象ですので、まずはご安心ください。
とはいえ、
木質化が進行すると花や葉の数がどんどん減っていくため、メンテナンスが必要です
ラベンダーを上手に育てるためには、木質化の対処法を知っておくことが大切です
「木質化」はラベンダーを育てていくと必ず直面する問題ですが、2つの対処法を知っておけば心配ありません!
ズバリ、その対処法は以下の2点です。
ラベンダーの木質化の対処法は…
- 「木質化を遅らせる方法=剪定(切り戻し)」
- 「木質化をリセットする方法=挿し木」
この記事では、2つの対処法について順番に分かりやすく解説していきます。
- ラベンダーは「低木」のハーブ
- 木質化は健全に生長している証拠でもある
- 「剪定(切り戻し)」で木質化を遅らせることができる
- 「挿し木」で木質化をリセットすることができる
- 木質化した枝はクラフト素材として再利用できる
- 植物の栽培を仕事として経験している夫婦が解説
- 100種類以上のハーブの栽培を経験
- ガーデニング歴は夫婦ともに20年以上
仕事と趣味で植物を触っている経験を活かして、植物の正しい情報を発信します。
ラベンダーが木質化したら、2つのテクニックで解決
本来、ラベンダーが木質化することは決して悪いことではありません。
実は…
ラベンダーは「低木」に分類される植物です
「低木」は植物の分類上「樹木」の仲間になります
樹木と言われれば、木の肌は木質化しているイメージがありませんか?
ラベンダーも例外ではありません。
ラベンダーにとって木質化することは健全に生長している証拠ともいえます。でも…
- 木質化すると見た目が悪いし、緑の枝の数が減ってしまう!
- 常に若々しい状態をキープしたい!
やっぱり木質化しているラベンダーより、キレイな緑の枝が多いラベンダーが良いですよね?
そんなラベンダーの木質化は次の2つの方法で解決することができます。
- 剪定(切り戻し)
- 挿し木
育てているラベンダーの状態によって、2つのテクニックを使い分けるのがポイントです。
それぞれの方法を一緒に見ていきましょう。
「剪定(切り戻し)」でラベンダーの木質化を遅らせる
ラベンダーは「樹木」に分類されるハーブです。
ラベンダーは、「新しい枝を伸ばす⇒木質化」を繰り返して少しずつ生長していきます。
木質化は古い枝から順番に始まります
木質化した枝からは新たな枝が吹きにくくなってきます
年月が経つとほとんどの枝が木質化し、やがて新たな芽が吹かなくなってしまいます。
そこで、「剪定(切り戻し)」というテクニックを使います。
剪定(切り戻し)とは、木質化したラベンダーの枝を刈り込み、株の下の方から新たな枝を吹かせるテクニックです
イメージはこんな感じです。
何もせずに栽培していくと、株の下の方から徐々に木質化が進んでいきます。
この株に剪定(切り戻し)をしていきます。
このように枝の位置を低くまで切り下げます。
しばらく栽培していくと、下の方から新しい枝が吹いてくるため、木質化した部分を減らすことができました。
剪定(切り戻し)の時期はいつ?
- ラベンダーの剪定時期は新芽の吹きやすい春~初夏(5~6月)が最もおすすめです。
- 秋(9月下旬~10月)にも活発に新芽が吹いてきますので、春に剪定が出来なかった場合は秋に剪定することもできます。
ただし、秋に剪定をする場合、剪定時期が遅くなると、吹いてきたばかりの新芽が冬の寒風に当たり、枯れてしまう場合がありますので注意してください
- 夏(7~8月)に剪定をすることも可能ですが、気温が高すぎると剪定してもすぐに新芽が出てくることはありません。
秋になり、気温が落ち着いてくると再び新芽が吹いてきます。
あまり思い切って剪定をし過ぎると、株がダメージを受けてしまい枯れてしまう可能性があります
夏場に剪定する場合は特に気を付けましょう
- 冬(12月~2月)は株の生長がストップしているため、剪定時期としては不適切です。
気温の低い時期の剪定は避けましょう。
どの位置で剪定する?
「ラベンダーはどの位置で剪定すればいいの?」というご質問をよく受けます。
ラベンダーは、おおよそ先端から3分の1くらいの位置を目安に剪定(切り戻し)をしていきます。
剪定(切り戻し)の位置の高さによって、以下のメリット、デメリットがあります。
- メリット
たくさんの枝が出てくる
新たな枝が出る確率が高い
- デメリット
切る量が少ないため、木質化した枝はあまり除去できない
イメージはこんな感じです。
枝の先端に近い場所で剪定をするため、株の上部からたくさんの枝が吹いてきます。
- メリット
木質化した部分を大量に取り除くことができる
- デメリット
新たな枝が出ない可能性がある
枝の出る量が少ない
イメージはこうです。
株の下の位置で剪定するため、新たな枝が出てくる量は控えめです。
この項の先頭の写真をご覧ください
ラベンダーの枝には「新芽」がたくさん付いています
これを残して剪定(切り戻し)をすれば、新芽が生長し新たな枝になります
新芽を残して剪定(切り戻し)するように心がけましょう。
「新芽」が何もない場合は、既に老化が進み過ぎていて切り戻しが難しい状況です
こういった場合は挿し木で新たな株を作る必要があります
切り口は小さく、剪定後のケアも大切
木質化した枝を剪定するときは、必ず切れ味の良いハサミを使いましょう。
枝を切るのに苦労して切り口が汚くなると、病原菌が侵入するリスクが高くなってしまいます。
ラベンダー、ローズマリー、タイムなどの枝が木質化する植物の剪定には「剪定鋏」がおすすめです。
木質化した枝は硬く、普通のハサミではなかなか切れません。
上手に切れず何度もハサミを当てていると、枝が傷つき、そこから病気などが侵入することもあるため、ハサミの切れ味は重要です。
岡恒の剪定鋏は切れ味が良く、少ない力で太めの枝でもカットできる優秀な剪定鋏です。
私も仕事用、ガーデニング用のどちらもこのハサミを愛用しています。
今まで、普通のハサミしか使っていなかった方は、その切れ味に驚くと思います
長くガーデニングを楽しむのであれば、1本持っておいても損はないアイテムです
また、木質化した枝をたくさん切った後は、殺菌剤を散布しておくと安心です。
どんなに小さな切り口でも、植物にとっては「無防備な部分」です。
病気が侵入してしまうと、大切に育ててきたラベンダーが枯れてしまう可能性もあります。
「予防の散布」をしておけば、剪定後も安心して管理を続けることができます。
使用する農薬は、市販の殺虫・殺菌剤で大丈夫です。
「効果が鋭い化学性の農薬」と「マイルドで人体にも優しい有機性の農薬」があります
それぞれ1つずつ商品をご紹介しておきます
まずはおすすめの化学性の農薬です。
ベニカXネクストスプレーは、様々な殺虫・殺菌成分が入っている農薬です。
非常に幅広い病気や害虫をこれ1本でシャットアウトできるため、1本持っていると便利な農薬です
次に、安全な有機性の農薬です。
こちらもベニカシリーズで、「ベニカマイルドスプレー」という商品があります。
この農薬は100%食品由来成分からできているため、人体にも優しく、安心して使うことができる農薬です。
効果は化学性の農薬よりマイルドですが、今回のような「予防の散布」としては十分な働きが期待できます
特に、有機栽培を心掛けている方は、色々な植物に使える心強い味方になってくれるはずです。
いずれの農薬も、剪定直後の切り口に散布しておくことで、病気を予防する効果が期待できます。
剪定は毎年の作業なので、便利アイテムを揃えておくと作業の仕上がりも綺麗で、良い株の状態をキープすることができます
挿し木でラベンダーの木質化をリセットする
剪定(切り戻し)をしても、株の老化は徐々に進んでいきます。
老化が進んでくると新しい枝の吹きが悪くなり、やがて木質化した部分からは新たな枝が出なくなります。
木質化が進行したら剪定(切り戻し)では対処できません
挿し木をして新たな若い株を作り、古い株と新しい株を交換してあげましょう
挿し穂の調整
挿し木に使う「挿し穂」を作りましょう。
カットした枝を4~5cmくらいの長さに揃えます。
切り口を斜めに切って、表面積を大きくすると発根しやすくなります
上の写真のように、土に挿す部分の葉を取り除きます。
これで挿し穂は完成です。
切り口に発根促進剤を塗布するとさらに発根率が上がります
挿し木に使う用土
挿し木に使う用土は赤玉土やバーミキュライト、ひゅうが土など、肥料成分が入っていない土がおすすめです。
市販の園芸用土などは肥料成分が入っていることが多く、腐敗の原因になるため、使わないようにしましょう
上の写真はバーミキュライトです。
軽くて水持ち・水はけのバランスが良いため、私は挿し木で一番よく使います
ラベンダーの挿し木の時期
ラベンダーの挿し木に適した時期は5~7月です。
特に湿度の高い梅雨時期は発根率が高くなる傾向があるのでおすすめです
花のついた枝は避け、緑の枝で挿し木をしましょう。
挿し木をよく失敗する、成功率を上げたい人は
挿し木には、発根させるためのポイントがいくつかあります。
例えば、「ルートン」などの発根促進剤を使うのもポイントの一つです。
切り口にルートンを塗るだけで、発根率が上がり、発根量が多くなる傾向があります。
試したことがない方は、ぜひルートンを使ってみてください。
▼ルートンについて詳しく知りたい方はこちらの記事もチェックしてみてください
▼その他の挿し木のコツをまとめた記事も用意しています
木質化したラベンダーはクラフト素材に
ここまで、ラベンダーが木質化したときの2つの対処法をご紹介してきました。
- 剪定(切り戻し)で木質化を遅らせる
- 挿し木で木質化した株をリセットする
対処法は理解できたけれど、もしかすると
- 剪定(切り戻し)した枝が何だかもったいない…
- 今まで大切に育ててきたラベンダーをそのまま捨ててしまうのは可哀そう
こんなふうに考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
そんな方におすすめしたいのが、木質化したラベンダーをドライフラワーやリースの素材として活用することです。
木質化して枯れてきた枝は乾燥しているため、カットすればすぐに花材として利用することができます。
上のリースの写真は、Twitter上できれいなお庭の風景や植物の写真をアップされているIso-piyoko(@Tsukimachisou)さんが木質化したラベンダーの枝を使い、とても素敵なリースを作られていたので、許可をいただきご紹介しました。
いかがでしょうか?
木質化して乾燥したラベンダーの葉がシルバー系の素材として見事に活かされています。
皆さんも木質化したラベンダーをお部屋の中に飾って楽しんでみてはいかがでしょうか?
まとめ
いかがでしたか?
本日はラベンダーが木質化したときの対処法を解説しました。
- ラベンダーは「低木」のハーブ
- 木質化は健全に生長している証拠
- 「剪定(切り戻し)」で木質化を遅らせる
- 「挿し木」で木質化をリセットする
- 木質化した枝はクラフト素材として再利用できる
ラベンダーが木質化することは、生長の一環でごく自然のことです。
いつも緑で若々しいラベンダーを育てるには定期的に「剪定(切り戻し)」をして老化を遅らせることが重要です
それでも少しずつ株元から木質化は進んでいきます。
新芽の吹きが悪くなってきたり、株の大部分が木質化してしまったら、いよいよ「挿し木」をして新しい株に交換する時期です
2つの木質化の対処法を身に付けて、上手にラベンダーを育てていきましょう。
▼ラベンダーはいくつもの種類があります
その中でもフレンチラベンダーは特に育てやすく、きれいな花を咲かせるラベンダーです
お庭にフレンチラベンダーをお迎えしてみませんか?