ラベンダーを上手に育てるポイントを知りたい
立派な株にするにはどんな管理が必要?
ラベンダーの栽培に必要なポイントをたっぷりと詰め込みました!
植え付けから日常の水・肥料やり、剪定にいたるまで、どのサイトよりも幅広く網羅している自信があります
この記事に書かれている項目を実践していただければ、必ず立派なラベンダーの株を仕立てることができるようになります。
植え付け編
- 植え付けには水はけの良い土を使う
- 2~3年に1回は植え替えが必要
管理編
- 水やりは乾いたらたっぷりと
- 緩効性肥料を活用する
- 剪定をして形を整えていく
- 年数が経ったら木質化の対処が必要
問題解決編
- 大きく育ち過ぎてしまったら、剪定で対処
- 大きくならない場合は土壌改良や置き場所の変更をする
- 定期的な薬剤散布で病害虫を防除する
- 植物の栽培を仕事として経験している夫婦が解説
- 100種類以上のハーブの栽培を経験
- ガーデニング歴は夫婦ともに20年以上
これまで、多くのラベンダーを栽培してきた経験を活かして分かりやすく解説していきます!
ラベンダーの植え付け
ラベンダーは鉢植え、地植えのどちらも可能なハーブです。
- 鉢植えの場合は、鉢の大きさに比例して株の大きさが変わります(鉢が大きいほど株は大きくなる)
- 地植えは根がどこまでも伸びるため、とても大きな株になります
まずは自分のガーデンに合わせて鉢植え・地植えを選びましょう。
植え付けに使う用土
ラベンダーは過湿が苦手なハーブです。
植え付けには必ず「水はけの良い土」を使いましょう
水はけの良い土を準備するには2種類の方法があります。
- 市販のハーブの土を購入する
- 水はけの良い土をブレンドする
市販のハーブの土でおすすめなのはプロトリーフの「ハーブの土」です。
この土は水はけが非常に良く、ローズマリー、ラベンダー、タイムなどの過湿が苦手なハーブの栽培に向いている用土です
自分で土を配合する場合は
赤玉土:腐葉土:軽石=6:3:1の割合での配合がおすすめです。
軽石とは、ひゅうが土、パーライト、ゼオライトなどを指します。
園芸の世界で赤玉土:腐葉土=7:3の配合は「万能の土」と呼ばれ、オールマイティに使える用土です
個別に土を購入するのは少々面倒ですが、オールマイティの土をベースに配合の割合を変えることで、それぞれの植物に最適な土を作り出すことができます。
私は、基本的にこの3種類の土をベースに自分で土を配合して様々な植物を育てています。
▼ラベンダーの土作りをもっと知りたい方はこちらの記事をご覧ください
ラベンダーの植え替えについて
ラベンダーを鉢植えにしていると、鉢の中に根がまわってきます。
そのまま長い期間放置しておくと、根詰まりを起こし、生育が悪くなってしまうことがあります。
2~3年に1回を目安に、植え替えをしてあげましょう
植え替えには2パターンの方法があります。
- ひと回り大きなサイズの鉢に植え替える
- 同じサイズの鉢に植え替える
順調に生育しているラベンダーは、年数を重ねるたびに枝が伸び、根の量も増えていきます。
植え替えのタイミングで「ひと回り大きな鉢」に植え替えてあげるのが最もおすすめです
しかし、大きな鉢に植え替えると、鉢の大きさに比例してラベンダーの株は大きくなっていきます。
「これ以上大きくならないで欲しい」
という方は、同じサイズの鉢に植え替えましょう。
植え替えの方法は、現在植えている鉢から株を引き抜き、根をほぐして植え替えます。
このとき、鉢に入れる土は新しい土に交換しましょう。
▼植え替えについてより詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください
ラベンダーの日常管理について
次に、ラベンダーの日々お世話に必要な知識を解説していきます。
この項では
- 水やり
- 肥料やり
- 剪定
- 木質化の対処
この4つについてご紹介します。
ラベンダーの水やりについて
水やりについては、「水はけの良い土に植えて、乾いたらしっかりと水やりをする」のが理想です。
ラベンダーは過湿に弱い植物です。
様々な書籍や記事で、「水やりは控えて管理する」と解説されている場合が多いかと思います。
水やりを控えて根を乾かしてしまうと株がダメージを受けてしまい、生育が止まってしまったり、枯れてしまったりすることもあります
水はけの良い土を使えば、水やりをした後の余分な水分は全て抜け落ちていきます。
無理に水を控えるより、ラベンダーに適した土を使って、たっぷりと水やりをする方法が元気なラベンダーを育てることができます。
▼こちらの記事で過湿に弱い植物をお世話するコツをご紹介しています
ラベンダーの肥料やりについて
ラベンダーは気候がマイルドな春と秋に新しい枝を伸ばします。
この時期には肥料が必要です!
ゆっくりと長い期間効果が続く「緩効性肥料」を使うと便利です。
プロミックは最も有名な緩効性肥料の一つです。
緩効性肥料は、錠剤を土の上に置いておくだけで、毎日の水やりのときに少しずつ成分が溶け出す仕組みになっています
「肥料やりをすぐに忘れてしまう」という方には、特におすすめです。
液肥を使用する場合は、1~2週間に1回のペースで与えましょう。
ラベンダーの剪定について
ラベンダーを育てていくと、
- 枝が伸びすぎた
- 枝の数が多いor少ない
など、色々な悩みが出てくるかと思います。
こういった枝に関する悩みを解決するのが「剪定」です。
ここでは3つの剪定方法を簡単にご紹介します。
伸びすぎた枝を短くする(切り戻し)
ラベンダーの株を放っておくと、どんどん枝が伸びて樹形が乱れた株になってしまいます。
そんなときは、「切り戻し」という剪定が効果的です。
伸びた枝を3分の1くらいの長さに切り揃えて、形を整えましょう
カットしたところから新しい枝も吹いてくるため、株全体のリフレッシュにも適しています。
枝の数を減らす(間引き)
ラベンダーを何度か剪定をしていると、次第に枝の数が増えていきます。
枝の数が増えすぎると、1本1本の枝に栄養が行きわたらなくなったり、日当たりが悪くなったりするため、枝の数を減らす必要があります
そんなときは「間引き」という剪定を使います。
「間引き」は枝を根本から切り落とすことで枝の数を減らす剪定です。
生え際から枝を落とせば、その部分からは新たな枝が生えてこないため、枝の数を減らすことができます
枝の数を増やす(切り返し)
育てているラベンダーの枝数が少ない場合も「切り返し」という剪定のテクニックを使います。
「切り返し」は最初に解説した「切り戻し」よりも少し高い位置で枝をカットする剪定です。
- 枝を長く残して剪定すると、残された枝の脇からたくさんの新芽が吹いてきます
- 新芽を大切に育てていけば、やがて立派な枝となり、株全体のボリュームが増します
▼先ほどご紹介した3つの剪定について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください
ラベンダーは木質化の対処が必要
ラベンダーと木質化は切っても切り離せない関係にあります。
長い期間ラベンダーを栽培していくと、株の下の方の古い枝が木のようになっていきます
これを「木質化」といいます
もともとラベンダーは低木に分類されるハーブなので、枝が緑なのは若いうちだけで、本来は木のような姿をしています。
ですが、あまりにも木質化が進んでしまうと見た目が悪くなり、ハーブとして利用できる部分も減ってしまいます。
そこで、木質化を次の2つの方法で対処していきます。
- 切り戻しで木質化を遅らせる
- 挿し木で木質化をリセットする
順番に解説していきます。
切り戻しで木質化を遅らせる
1つ目の対処法は剪定です。
木質化は枝が古くなってくると発生します。
つまり、古い枝をカットして新しい枝を次々と吹かせれば木質化している枝を減らすことができます。
古い枝のカットは先ほどもご紹介した「切り戻し」という剪定方法を用います
木質化した枝を半分から3分の1程度に切ると、残された枝の脇から新しい枝が吹いてきます。
剪定だけで木質化を完全に抑えることはできませんが、木質化のスピードをかなり遅らせることができます
▼木質化した株の対処法について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください
挿し木で木質化をリセットする
2つ目の対処法は挿し木です。
ラベンダーの株が古くなってくると、切り戻しをしても木質化した枝が目立ってくるようになります。
老化が激しくなってきたら、挿し木をして新しい株を作り、世代交代をする時期です
枝の先端の新しい芽を使って、挿し木をしていきます
挿し木に使う用土は、挿し穂の腐敗を防ぐために肥料成分の入っていないものを選びます。
発根したら鉢に植え替えて、苗を大きく育てておきます。
春または秋の気候がマイルドな時期に古い株と交換して、世代交代の完了です。
▼「挿し木のやり方をもっと知りたい」という方はこちらの記事で解説しています
ラベンダー栽培のお悩み3選
ここではラベンダーを育てている方からよくいただく以下の3つの質問についてお答えしていきます。
- ラベンダーの株が大きくなりすぎた
- ラベンダーの株が大きくならない
- 病害虫が出た
株が大きくなりすぎた
イメージしていたよりラベンダーの株が大きくなりすぎてしまった場合は、剪定で対処していきます。
「切り戻し」で枝の長さを短くしたり、「間引き」で枝の数を減らしたりして、株全体のボリュームをダウンさせていきます
一度に枝を切り過ぎると、株がダメージを受けて枯れてしまうこともあるので、少しずつ間隔をあけて慎重に切り下げていくのもポイントです。
株が大きくならない
株が大きくなりすぎて困る人がいる一方で
「一生懸命育てているのに、株が全然大きくならない!」
という声もよく聞きます。
考えられる原因は主に3つです。
- 水はけの良い土に植えていない
- 肥料成分が不足している
- 日当たりが良くない場所で管理している
水はけの良い土に植え替える
ラベンダーが大きく育たないとき、最も多い原因は、
土の水はけが悪く、根が傷んでしまっているパターンです。
ラベンダーは過湿に弱いハーブです。
通常の園芸用の土では水持ちが良すぎるためマッチしていません。
先ほどご紹介した市販の「ハーブの土」やご自身でブレンドした水はけの良い土に植え替えましょう
肥料を与える
ラベンダーが新芽を伸ばすためには栄養が必要です。
毎日水だけ与えていると、土の中の肥料成分が欠乏して新芽が吹かなくなってしまいます。
肥料を与えてラベンダーが生長しやすい環境を整えてあげましょう。
肥料タイプによって「効き始めるまでのスピード」と「効果が持続する時間」が異なります。
おすすめはゆるやかに長い期間効果が続く「緩効性肥料」です
一度土の上に置いておけば、数か月間は肥料の効果が続きます。
ラベンダーにしばらく肥料をあげていなかった場合は、緩効性肥料を置いてみましょう。
日当たりの良い場所に移動する
ラベンダーの若い芽は日当たりの良い場所で吹きやすい傾向があります。
大株になってしまえば管理場所を気にする必要はありませんが、苗が小さいうちは日当たりの良い場所でたくさんの新芽を吹かせると、立派な株に生長しやすくなります
夏場の直射日光はあまり得意ではありませんが、基本的には明るい場所で管理するのがおすすめです。
病害虫の対策
ラベンダーは病気や虫に強いハーブですが、「うどんこ病」や「ハダニ」が比較的発生しやすい特徴があります。
どちらの病害虫も葉に白い模様が出るため、日ごろから葉をチェックしておくと安心です
ラベンダーに発生するうどんこ病
うどんこ病は、その名の通り葉の表面に「うどんの粉」のようなものが付着する病気です。
発生すると、水や空気を介して伝染し、枯れや生育不良などの症状を引き起こします。
うどんこ病は気温がマイルドな春、秋に発生しやすい特徴があります
以下の2つが主な対処法です。
- 病気になった葉を取り除く
- 農薬を散布する
うどんこ病は一度発生すると次々に広がっていくため、出来るだけ早く葉をハサミで取り除きましょう。
葉を取り除いて密度を減らしても、目に見えない胞子が葉についているため、農薬を使ってきっちりと病原菌を倒しきりましょう。
農薬はベニカXネクストスプレーがおすすめです。
ベニカXネクストスプレーは、作用の異なる4つの殺虫・殺菌成分が入っているため、非常に幅広い病気や虫に効果のある農薬です。
この後に説明するハダニにも効果があります。
ラベンダーに発生するハダニ
ハダニは、ラベンダーに比較的多く発生する害虫の一つです。
うどんこ病と同じく、白い斑点が葉の表面に出るのが特徴です
こちらの斑点模様は、ハダニが葉の養分を吸汁した痕になります。
対処法は2点で、うどんこ病と同様です。
- ハダニが発生している葉を切除する
- 農薬を散布する
ハダニに効果的な農薬はコロマイトがおすすめです。
殺ダニ剤という、ダニ退治に特化した農薬で、私も業務で使用しています
成分は天然物由来ということもあり、有機農業にも使用できるため、安全性も高い農薬です。
もちろん、先ほどご紹介した「ベニカXネクストスプレー」も効果的です。
また、ハダニは乾燥した環境を好むため、予防策として水やりのときに葉に水をかけるのが効果的です。
▼「育てている株にハダニが発生しているかも?」と思った方はこちらの記事で詳しく解説しています
まとめ
いかがでしたか?
本日はラベンダーの栽培のポイントをまとめてみました。
植え付け編
- 植え付けには水はけの良い土を使う
- 2~3年に1回は植え替えが必要
管理編
- 水やりは乾いたらたっぷりと
- 緩効性肥料を活用する
- 剪定をして形を整えていく
- 年数が経ったら木質化の対処が必要
問題解決編
- 育ち過ぎてしまったら、剪定で対処
- 大きくならない場合は土壌改良や置き場所の変更をする
- 定期的な薬剤散布で病害虫を防除する
ボリュームのある文章だったので、一度では全てを覚えることは出来ないかと思います。
気になる項目を少しずつお読みいただき、素敵なラベンダーを仕立てていただければ嬉しいです!
この記事に書いた内容は、ラベンダー以外のハーブ栽培にも使える知識ばかりです。
ぜひ色々な植物を育てて、ガーデニングを楽しんでください!