そんな疑問にお答えする記事です。
「木質化」はタイムを育てていくと必ず直面する問題です。
タイムの木質化の対処法には「遅らせる方法=剪定(切り戻し)」と「リセットする方法=挿し木」の2種類があります。
この記事では、それぞれの方法について詳しく解説していきます。
- タイムは「樹木」、木質化は健全に生長している証拠
- 「剪定(切り戻し)」で木質化を遅らせる
- 「挿し木」で木質化をリセットする
- 植物の栽培を仕事として経験している夫婦が解説
- 100種類以上のハーブの栽培を経験
- ガーデニング歴は夫婦ともに20年以上
仕事と趣味で植物を触っている経験を活かして、植物の正しい情報を発信します。
タイムが木質化したら、2つのテクニックで解決
本来、タイムが木質化することは決して悪いことではありません。
そもそもタイムは「常緑低木」に分類される植物です。
つまり、タイムは「樹木」です。
タイムが若いうちは枝が緑色ですが、年を重ねるごとにその枝は木質化していきます
これはタイムが健全に生長している証拠ともいえますが、
- 木質化すると見た目が悪い
- キッチンハーブとしては若々しい枝を使いたい
こういったデメリットが生じることも確かです。
タイムの木質化は次の2つの方法で解決することができます。
- 剪定
- 挿し木
育てているタイムの状態によって、2つのテクニックを使い分けるのがおすすめです。
それぞれの方法を詳しく解説していきます。
「剪定(切り戻し)」でタイムの木質化を遅らせる
タイムは「常緑低木」というタイプに分類されるハーブです。
タイムの生長は
緑の枝が出る⇒木質化する⇒木質化した枝の先端から緑の枝が出る⇒木質化する
このように新しい枝を伸ばしては木質化して少しずつ生長していきます。
年月が経つとほとんどの枝が木質化し、やがて新たな芽が吹かなくなってしまいます。
そこで、「剪定(切り戻し)」というテクニックを使います。
剪定(切り戻し)とは、木質化したタイムの枝を刈り込み、株の下の方から新たな枝を吹かせるテクニックです
イメージはこんな感じです。
何もせずに栽培していくと、株の下の方から徐々に木質化が進んでいきます。
この株に剪定(切り戻し)をしていきます。
このように枝の位置を低くまで下げます。
しばらく栽培していくと、下の方から新しい枝が吹いてくるため、木質化した部分を減らすことができました。
剪定(切り戻し)の時期はいつ?
- タイムの剪定時期は新芽の吹きやすい春~初夏(5~6月)が最もおすすめです。
- 秋(9月下旬~10月)にも活発に新芽が吹いてきますので、春に剪定が出来なかった場合は秋に剪定することもできます。
ただし、秋に剪定をする場合、剪定時期が遅くなると、吹いてきたばかりの新芽が冬の寒風に当たり、枯れてしまう場合がありますので注意してください
- 夏に剪定をすることも可能ですが、気温が高すぎると剪定してもすぐに新芽が出てくることはありません。
秋になり、気温が落ち着いてくると再び新芽が吹いてきます。
ただし、あまり思い切って剪定をし過ぎると、株がダメージを受けてしまい枯れてしまう可能性があります。
夏場に剪定する場合は特に気を付けましょう。
- 冬は株の生長がストップしているため、剪定時期としては不適切です。
気温の低い時期の剪定は避けましょう。
どの位置で剪定する?
よく「どの位置で剪定すればいいの?」というご質問を受けます。
剪定(切り戻し)の位置の高さによって、以下のメリット、デメリットがあります。
- メリット
たくさんの枝が出てくる
枝が出る確率が高い
- デメリット
切る量が少ないため、残された枝はほとんど木質化する
イメージはこんな感じです。
- メリット
木質化した部分を大量に取り除くことができる
- デメリット
新たな枝が出ない可能性がある
枝の出る量が少ない
イメージはこうです。
タイムの枝には「新芽のもと」がたくさん付いています。
これを残して剪定(切り戻し)をすれば、新芽が生長し新たな枝になります。
新芽のもとが株に残るように意識して剪定(切り戻し)をするように心がけましょう。
「新芽のもと」が何もない場合は、既に老化が進み過ぎていて切り戻しが難しい状況です。
こういった場合は挿し木で新たな株を作る必要があります。
切り口は小さく、剪定後のケアも大切
木質化した枝を剪定するときは、必ず切れ味の良いハサミを使いましょう。
枝を切るのに苦労して切り口が汚くなると、病原菌が侵入するリスクが高くなってしまいます。
タイム、ラベンダー、ローズマリーなどの枝が木質化する植物の剪定には「剪定鋏」がおすすめです。
岡恒の剪定鋏は切れ味が良く、少ない力で太めの枝でもカットできる優秀な剪定鋏です。
私も仕事用、ガーデニング用のどちらもこのハサミを愛用しています。
今まで、普通のハサミしか使っていなかった方は、その切れ味に驚くと思います
長くガーデニングを楽しむのであれば、1本持っておいても損はないアイテムです
また、木質化した枝をたくさん切った後は、殺菌剤を散布しておくと安心です。
どんなに小さな切り口でも、植物にとっては「無防備な部分」です。
病気が侵入してしまうと、大切に育ててきたローズマリーが枯れてしまう可能性もあります。
「予防の散布」をしておけば、剪定後も安心して管理を続けることができます。
使用する農薬は、市販の殺虫・殺菌剤で大丈夫です。
「効果が鋭い化学性の農薬」と「マイルドで人体にも優しい有機性の農薬」があります
それぞれ1つずつ商品をご紹介しておきます
まずはおすすめの化学性の農薬です。
ベニカXネクストスプレーは、様々な殺虫・殺菌成分が入っている農薬です。
非常に幅広い病気や害虫をこれ1本でシャットアウトできるため、1本持っていると便利な農薬です
次に、有機性の農薬です。
こちらもベニカシリーズで、「ベニカマイルドスプレー」という商品があります。
この農薬は100%食品由来成分からできているため、人体にも優しく、安心して使うことができる農薬です。
効果は化学性の農薬よりマイルドですが、今回のような「予防の散布」としては十分な働きが期待できます
特に、有機栽培を心掛けている方は、色々な植物に使える心強い味方になってくれるはずです。
いずれの農薬も、剪定直後の切り口に散布しておくことで、病気を予防する効果が期待できます。
剪定は毎年の作業なので、便利アイテムを揃えておくと作業の仕上がりも綺麗で、良い株の状態をキープすることができます
挿し木でタイムの木質化をリセットする
剪定(切り戻し)をしても、株の老化は徐々に進んでいきます。
老化が進んでくると新しい枝の吹きが悪くなり、木質化した部分からは新たな枝が出なくなります。
この場合は剪定(切り戻し)では対処できませんので、挿し木をして新たな若い株を作り、古い株と新しい株を交換してあげましょう
挿し穂の調整
挿し木に使う「挿し穂」を作りましょう。
先端の緑の枝から4~5cmくらいの場所で枝をカットします。
上の写真のように、土に挿す部分の葉を取り除きます。
これで挿し穂は完成です。
挿し木に使う用土
挿し木に使う用土は赤玉土やバーミキュライト、ひゅうが土など、肥料成分が入っていない土がおすすめです。
市販の園芸用土などは肥料成分が入っていることが多く、腐敗の原因になるため、使わないようにしましょう。
タイムの挿し木の時期
タイムの挿し木に適した時期は5~7月です。
特に湿度の高い梅雨時期は発根率が高くなる傾向があるのでおすすめです。
花のついた枝は避け、緑の枝で挿し木をしましょう。
挿し木をよく失敗する、成功率を上げたい人は
挿し木には、発根させるためのポイントがいくつかあります。
例えば、「ルートン」などの発根促進剤を使うのもポイントの一つです。
切り口にルートンを塗るだけで、発根率が上がり、発根量が多くなる傾向があります。
試したことがない方は、ぜひルートンを使ってみてください。
▼ルートンについて詳しく知りたい方はこちらの記事もチェックしてみてください
▼タイムの挿し木についてまとめた記事も用意しています
まとめ
いかがでしたか?
本日はタイムが木質化したときの対処法を解説しました。
- タイムは「低木」、木質化は健全に生長している証拠
- 「剪定(切り戻し)」で木質化を遅らせる
- 「挿し木」で木質化をリセットする
タイムが木質化することは、生長の一環でごく自然のことです。
いつも緑で若々しいタイムを育てるには定期的に「剪定(切り戻し)」をして老化を遅らせることが重要です。
それでも少しずつ株元から木質化は進んでいきます。
新芽の吹きが悪くなってきたり、株の大部分が木質化してしまったら、いよいよ「挿し木」をして新しい株と交換をする時期です。
2つの木質化の対処法を身に付けて、上手にタイムを育てていきましょう。
大切なタイムを枯らしてしまわないように、タイムが好む環境を整えてあげることも大切です。
▼タイムが枯れる原因、土作りや水やりについてまとめた記事です。
▼タイムの栽培のポイントを総合的にまとめた記事も用意していますので、ご覧ください。
ポイントをおさえて、美しいタイムを育てましょう!
▼タイム以外にもおすすめのハーブはたくさんあります
以下の記事では育てやすくて、味や香りも楽しめるおすすめハーブをご紹介しています
ぜひ色々なハーブを育ててみてください!
それでは、また次のお部屋でお会いしましょう。